高松市役所 健康福祉局
セキュリティ面に配慮した一括管理で、保育の現場をサポート
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事例
札幌市消防局 様
東京23区とほぼ同じ広さの札幌市は、約200万人が暮らし、また北の玄関口として、多くの観光客が訪れる都市でもある。札幌市消防局は、札幌に暮らす市民や観光客の安全を守る救急業務の効率化とサービス向上を目的に、救急車へのタブレットの配備を決定。同時にタブレットを管理するために選ばれたのが、株式会社アイ・エス・ビーのMDM「FiT SDM」でした。
札幌市消防局
警棒部救急課 村西 拓海 様
警棒部救急課 柳原 卓 様
本事例のポイント
導入前の課題
村西様:札幌市消防局では、32の救急隊が24時間365日出動態勢をとっています。119番に救急要請があると、GPS上で要請場所から最も近くにいる救急車が出動。現場では患者の観察や処置と並行して、携帯電話で病院に受け入れを要請し、受け入れ可能な病院に患者を搬送し、引き継ぐ。出動から帰着までの所要時間は平均1時間程度ですが、戻る暇もなく次の現場へと出動要請がかかることも珍しくありません。2016年中の救急出動件数は91,426件で、初めて9万件を超えました。10年前と比べると約1万6千件増加しており、今後も増加が見込まれています。
また、最近顕著なのが、外国人傷病者の増加です。
札幌市が外国人観光客誘致に力を入れており、今後も外国人の方は増えると考えられます。ですが、救急隊員も多言語に堪能なわけではなく、コミュニケーションは大きな課題の一つです。
増加する救急出動に加えて多言語対応などの新たな課題にも対応するため、札幌市消防局は「ICTを活用した消防と医療の連携強化事業」を立ち上げ、他自治体などの事例も参考にしてタブレットの配備を決めました。「タブレットは携帯しやすく、一つの端末で複数の役割を果たせることから、さまざまな課題への対応が可能になると期待していました。
導入の理由
村西様:タブレットなどのモバイル端末を導入するのであれば、当然ながらその管理が必要となります。紛失時のリモートロック、リモートワイプ(遠隔消去)機能や、ウェブブラウザのフィルタリング設定、セキュリティソフトなど、基本的な管理は当然として、導入にあたって問題となったのが、「設定を誰が行うか」でした。最近のタブレットはプリインストールのアプリが多数入っていますが、現場の隊員が迷わず使えるよう、デスクトップ画面に必要なアプリだけを表示する機能が必要でした。また、アプリの更新なども全ての端末に対して同じタイミングで行わなくてはいけません。こうした設定を救急隊が自ら行うのは現場にとって負担となるため、管理者が一括して行いたいと考えていました。
村西様:札幌市消防局の課題として、増加するマニュアル類の管理がありました。従来は印刷したマニュアルや資料をファイル化し、各車両に搭載して参照していたため、資料の更新も大変であり、場所を取り非効率でした。また不定期に発生する交通規制や病院からの通知を移動中の救急車に配信する方法が無く、情報の共有が遅れる可能性がありました。
そこで、導入の決め手となったのが、FiT SDMの基本的な端末制御に加えて、マニュアル配布やテロップによる情報通知機能、タブレット本体の設定、アプリやコンテンツの配信が行えることでした。
導入にあたっては、救急現場でストレスなくスムーズに運用できるよう徹底的に課題を洗い出し、タブレット本体とFiT SDMの機能で現場にとって最適な設定と運用を模索しました。
導入効果
柳原様:FiT SDM の法人デスクトップ機能を利用し、必要なアプリ、ブラウザショートカットのみをデスクトップ上に配置することで専用端末化し、業務を円滑に進められるよう設定を行いました。外国人傷病者とのコミュニケーション支援用に、消防大学校消防研究センター及び国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT) と共同開発した多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」をデスクトップ上に配置しています。
タブレットの運用を開始した 2017年2月には、冬季アジア札幌大会が開催されました。雪まつりの時期と重なったこともあり、外国人傷病者が普段の月より多く、期間中に 22 名の外国人傷病者に翻訳アプリを使用しました。「今まで日本語でコミュニケーションが取れない患者さんとは身振り手振りを交えてコミュニケーションをとっていたのですが、タブレットの導入でコミュニケーションがスムーズになりました」と、現場の隊員からも好評です。
また、大会の 10カ所以上の会場図やマニュアルをすべて電子化して配信しました。救急隊は臨時救護所など通常とは異なる場所に向かう必要があったため、タブレットですぐに配置を調べることができたことは大いに役立ちました。
柳原様:タブレットのストレージには、各種マニュアルのほか、医療機関ごとのルール、空港や大規模商業施設などの詳細な地図、交通規制などの情報が保存されていますので、紙に比べて車内で場所をとらず、検索も容易になりました。変更や差し替えも管理者が即時に一斉配信できるので、変更漏れもありません。交通規制など、臨時で配信される重要な情報にはテロップ機能も活用しています。デスクトップ画面に表示されるので見落としがなく、テロップをタップしてドキュメントを確認できる機能が思っていた以上に便利で、重宝しています。
どんなことでもタブレットを見れば最新情報が分かるので、現場からは業務改善につながったと評価されています。
今後の展望
村西様:次の課題として、札幌市消防局では、患者の怪我や心電図の画像を医療機関と共有することを検討しています。患者さんの症状や怪我の状態などは現在電話で伝えていますが、音声ではなかなか伝えるのが難しいこともあります。救急車内でタブレットのカメラで撮影した画像を医療機関に伝送することで、より正確な情報が伝えられるようになります。
タブレットを活用した札幌市消防局の取り組みは、全国の自治体や消防局からも注目されています。また、救急ボイストラは、外国人来訪者の増加を踏まえ、消防庁が推進する「情報難民ゼロプロジェクト」の一環として、全国の消防本部に対して活用促進が通知されました。
現場にとって必要なアプリとコンテンツの配信、本部にとって必要なセキュリティが備わった端末管理を同時に1つのソフトで実現できるので、端末管理ソフトを導入して良かったと思っています。