MDMの業種別導入事例7選!
活用例・課題解決例を解説

近年、ビジネスの現場ではスマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスの活用が不可欠となっています。しかし、その利便性の裏側には、セキュリティリスクの増大、管理工数の増加といった新たな課題が潜んでいます。この課題を解決し、モバイル活用を推進するための核となるのが、MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)です。
本コラムでは、多岐にわたる業種でMDMがどのように活用され、どのような課題を解決し、競争力強化に貢献しているのかを、具体的な事例と共に詳しくご紹介します。

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MDMとは

はじめに、MDMについての概要を解説します。

MDMとは

MDM(Mobile Device Management)は、企業や組織が所有するスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを一元的に管理するためのツールです。このツールを活用することで、IT管理者はデバイスの設定やアプリケーションのインストール、セキュリティポリシーの適用を遠隔で行うことが可能になります。近年、リモートワークやハイブリッドワークといった多様な働き方が普及する中で、社外でのデバイス使用が増え、セキュリティ対策の重要性が高まっています。そのため、MDMの需要も増加しています。

MDMの導入メリット

MDMを導入することによる主なメリットについて解説していきます。

一元管理によるデバイス管理の効率化

MDMを導入するメリットとして、まず、一元管理によるデバイス管理の効率化が挙げられます。MDMを導入すると、情報システム部門の管理者は、業務で利用されるすべてのモバイルデバイスを一元的に管理できるようになります。これにより、各端末のハードウェア情報やインストールされているアプリケーションの情報をユーザー情報と紐づけて管理することが可能となり、従業員の異動や退職時の対応などもスムーズに行えます。

セキュリティ対策

セキュリティ対策としてもメリットがあります。MDMには、モバイルデバイスを情報漏洩から保護するためのさまざまな機能が搭載されています。例えば、安全なWi-Fiへの接続制限や、盗難や紛失が疑われる場合のリモートロック、データ削除機能、データの暗号化保存などがあります。また、脆弱性を突いたサイバー攻撃を防ぐために、管理者がソフトウェアのアップデートを強制的に実施することも可能です。これらの機能により、業務で利用するモバイルデバイスをセキュリティリスクから守ることができます。

コンテンツ配布の効率化

さらに、コンテンツ配布の効率化もMDMの大きな利点です。管理者は、必要なアプリケーションやコンテンツを一括で配布することができ、個別のデバイスごとに手動でインストールする手間も省けます。従来のコンテンツ配布に関する作業が効率化され、情報セキュリティの管理も容易になるでしょう。

【業種別】MDMツールの導入事例

続いて、MDMツールの導入事例を業種別に分けて解説していきます。

建設業

事例1: 現場のDXとセキュリティの両立

建設現場では、設計図面や施工管理アプリを閲覧するためにiPadやスマートフォンが導入され、大きな変革が進んでいます。MDMは、現場DXを安全かつ効率的に推進するための土台となります。
 

<活用例:現場情報のリアルタイム共有とペーパーレス化>
・課題
従来の紙の図面や日報では、現場と本部の情報共有にタイムラグが生じ、図面の差し替えや変更連絡が煩雑。
・MDMの活用
・業務用アプリの一斉配信・強制インストールにより、施工管理アプリや図面ビューアを全端末に確実に配布。
・Wi-Fi/VPN設定の遠隔構成が可能で、現場のネットワーク環境に合わせた接続設定を自動で行い、すぐに業務を開始可能に。
・位置情報取得(紛失対策)により、高額な業務用端末の紛失時に、現場のどこにあるかを特定し、情報漏洩リスクを低減。
 

<解決された課題とメリット>
情報共有の迅速化と精度向上:常に最新の図面・情報を参照でき、誤施工のリスクを大幅に軽減。
管理工数の削減:アプリの更新や設定変更のために、現場から端末を回収する手間が不要に。

運輸・物流業

事例2: 動く拠点と情報セキュリティ

トラック、タクシー、航空機など、移動する「現場」を持つ運輸・物流業では、モバイル端末は運行・配送効率化に直結します。MDMは、広範囲に散らばる端末群を一元管理し、事故や紛失時のリスクを最小化します。
 

<活用例:動態管理と運行データの保全>
・課題
運行中のドライバーに貸与されたスマートフォンが、私的な利用や、運転中の操作制限違反に使われるリスク。また、端末紛失時の運行データ流出。
・MDMの活用
・機能制限(キオスクモード):業務に必要な動態管理アプリ、地図アプリなど特定アプリ以外を起動できないように設定。運転中の不要な操作を防止。
・紛失時の位置情報追跡とリモートワイプ:車両から離れた場所での紛失に備え、即座にデバイスを無効化。
・OSアップデートの一斉適用:セキュリティホール対策のため、最新のOS環境を強制的に適用し、セキュリティレベルを均一化。
 

<解決された課題とメリット>
セキュリティ強化と運行の安全性向上:業務外利用を制限することで、情報漏洩を防ぎ、運転への集中を促す。
業務の効率化:配送ルートや顧客情報を正確に表示し、ペーパーレスな日報作成を実現。

医療・介護業

事例3: 機密性の高い患者情報の保護

病院や介護施設では、電子カルテやバイタルサイン管理にタブレット端末の導入が進んでいます。MDMは、個人情報保護法や各種ガイドライン遵守のため、最も厳格なセキュリティ管理が求められます。
 

<活用例:共有端末の安全な運用と私的利用の防止>
・課題
複数の医師や看護師が利用する共有タブレットにおける、ログイン情報の漏洩リスクや、患者情報への不正アクセス防止。
・MDMの活用
・パスコードポリシーの厳格化:複雑なパスワード設定を強制し、一定時間操作がない場合の自動ロックを徹底。
・カメラ/外部記録媒体の利用制限:患者のプライバシー保護のため、カメラやスクリーンショット機能、SDカードの使用を禁止。
・利用アプリの厳密な制限:電子カルテやナースコール連携アプリなど、業務に必要なアプリのみを許可(ホワイトリスト方式)。
 

<解決された課題とメリット>
最高レベルのセキュリティ確保:機密性の高い患者情報の漏洩リスクを極限まで低減。
医療従事者の負担軽減:MDMを通じて必要な設定を自動で適用するため、端末利用者がセキュリティ意識を高く持たなくても安全に運用できる。

金融業

事例4: 高度なセキュリティ要件と外訪業務の効率化

銀行や証券会社といった金融機関は、顧客の資産情報という極めて重要なデータを扱います。MDMは、不正アクセス防止と、渉外担当者(営業担当)の外訪時の機動性向上を両立させます。
 

<活用例:渉外端末の厳格な管理と情報漏洩対策>
・課題
渉外担当者が持ち出すタブレット端末が、社外のフリーWi-Fiなどに接続することで、通信経路にセキュリティリスクが生じる。
・MDMの活用
・ネットワーク接続の制御:特定の社内VPN接続のみを許可し、業務アプリの通信を強制的に暗号化。
 フリーWi-Fiやテザリング接続を禁止。
・機密データ保管の禁止設定:端末内に顧客情報などの機密データを保存できないよう、クラウドストレージ連携やローカル保存を制限。
・脱獄(Jailbreak)、ルート化検出:不正に改造された端末を検出し、自動でアクセスを遮断。
 

<解決された課題とメリット>
法令・ガイドラインの遵守:金融庁などが求める高度なセキュリティ要件を満たし、監査にも対応しやすい体制を構築。
顧客満足度の向上:渉外担当者がその場で顧客に投資シミュレーションや商品提案をタブレット上で行え、手続きも迅速化。

小売業・サービス業

事例5: 多店舗展開と情報格差の解消

全国に多店舗展開する小売業や飲食業では、MDMは店舗スタッフ用端末の一括管理、情報伝達の均一化、そしてPOSレジのモバイル化に貢献します。
 

<活用例:店舗端末の設定統一と迅速な情報配信>
・課題
数百・数千店舗のタブレットPOSやハンディ端末のOSアップデート、セール情報や接客マニュアルアプリの更新が店舗任せになり、情報格差やトラブルが発生。
・MDMの活用
・コンテンツ配信、リモート設定:本部から一括でデジタルサイネージのコンテンツや販促キャンペーン情報を店舗端末に配信・更新。
・タブレットPOSの機能制限:レジとしての機能のみに限定し、業務外の利用を完全に禁止。
・デバイスの稼働状況の可視化:故障やバッテリー切れの端末を即座に把握し、店舗オペレーションの停止を防ぐ。
 

<解決された課題とメリット>
ブランドイメージの統一:全店舗で統一されたマニュアルや接客動画を確実に閲覧させることが可能に。
管理コストの大幅削減:各店舗での手作業によるアプリ更新や設定変更が不要になり、IT部門の負担を劇的に軽減。

教育機関

事例6: GIGAスクール構想と学習環境の保護

GIGAスクール構想により、児童・生徒一人一台の学習用端末(iPadやChromebookなど)が導入されています。MDMは、これらの数万台規模の端末を安全かつ教育効果の高い状態で運用するための必須インフラです。
 

<活用例:学習に最適な環境の構築と不適切な利用の防止>
・課題
児童・生徒が学習に関係のないアプリをインストールしたり、有害サイトにアクセスしたりするのを防ぐとともに、学年や授業によって利用できる機能を柔軟に変える必要がある。
・MDMの活用
・利用時間・グループ別ポリシー設定:授業時間内は学習アプリのみ利用可能に制限し、放課後は調べ学習のための制限を解除するなど、時間帯や学年・クラスに応じた設定を適用。
・Webフィルタリング・有害サイトブロック:学習に適さないWebサイトへのアクセスを自動で遮断。
・教員によるアプリ配信・管理権限の委譲:IT管理者に集中しがちなアプリのインストール権限を、教員にも分散し、授業のニーズに合わせた迅速な対応を可能に。
 

<解決された課題とメリット>
安心・安全な学習環境の提供:不適切な利用を防止し、保護者や教員の不安を解消。
教員の負担軽減:端末の設定やアプリ管理の手間が不要になり、教員は教育そのものに集中できる。

製造業

事例7: 現場での情報参照と生産ラインの効率化

製造業では、工場の生産ラインや点検業務にタブレット端末が導入され、マニュアルのデジタル化、実績入力、設備点検記録などに活用されています。MDMは、工場という特殊な環境下での端末管理をサポートします。
 

<活用例:点検・作業マニュアルのデジタル化と保全>
・課題
従来の紙のマニュアルは、現場での参照が不便で、改訂時の差し替え作業も膨大。また、工場のネットワーク環境下での端末の安定した利用。
・MDMの活用
・作業マニュアルアプリの確実な配信:製造工程の変更に合わせて、全端末に最新版のマニュアルを即座に提供。
・紛失・盗難時の対策:高価な検査機器と連携する端末の紛失に備え、機密情報漏洩を防ぐ。
・Wi-Fi設定の一括適用:工場内の複雑なネットワークエリア(SSID)設定を自動で行い、作業員が意識することなく利用できるようにする。
 

<解決された課題とメリット>
生産性の向上:作業員がその場でマニュアルや図面を確認でき、作業ミスや手戻りを防止。
設備保全の効率化:点検記録をリアルタイムで本部と共有し、設備の故障予知や迅速な対応が可能に。

MDMの選び方

続いて、MDMの選び方について解説していきます。

自社のセキュリティ要件に合っているか

まず、自社のセキュリティ要件に合っているかを確認することが重要です。MDMは、デバイスのセキュリティリスクを軽減するために導入されますが、その機能は製品によって異なります。例えば、リモートワイプ機能は多くのツールで標準装備されていますが、Wi-Fi接続の制限やアプリケーションの使用制限など、より高度なセキュリティ機能は一部の製品にしか搭載されていないことがあります。自社のセキュリティポリシーを十分に満たすMDMを選ぶことが必要です。

サポート体制はあるか

サポート体制の充実度も重要な選定基準です。特に初めてMDMを導入する企業にとって、導入前後のサポートは欠かせません。サポートが対面や電話で提供されるのか、メールやチャットのみなのかを確認し、必要なサポートが受けられる製品を選びましょう。また、海外製品の場合、サポートが英語のみであることもあるため、国産製品を選ぶことで日本語サポートの安心感を得ることができます。

希望するOSに対応している

希望するOSに対応しているかを確認することも重要です。多くのMDMはiOSとAndroidに対応していますが、タブレットやノートパソコンでの利用を考えている場合は、iPadOSやWindowsへの対応も確認する必要があります。

トライアルはあるか

トライアルがあるかどうかも確認しましょう。Webサイトやパンフレットだけでは製品の使用感や細かい機能を把握することは難しいため、無料トライアルを利用して実際に操作してみることが重要です。トライアル期間が十分に設けられているかも確認し、しっかりと試用することをおすすめします。

コストが明確か

コストが明確であるかを確認することも重要です。料金体系が公開されている製品は、予算管理がしやすく、想定外の費用が発生するリスクを低減できます。初期費用やオプション費用、2年目以降の費用についても事前に確認し、総合的なコストを把握した上で最適なMDMを選定しましょう。

自社の課題にフィットする機能が揃っているか

最後に、自社の課題にフィットする機能が揃っているかを見極めましょう。例えば、特定の業種に特化した機能や、独自のワークフローに対応できるカスタマイズ性があるか、レポート機能など、自社の業務に最適な機能が揃っているかを確認することで、MDMを最大限に活用することができます。

MDMを導入するなら「FiT SDM」

最後に、おすすめのMDM「FiT SDM」をご紹介します。FiT SDMは、充実した機能を低コストで提供し、デバイス管理の複雑さを軽減するクラウド型のMDMサービスとなり、その特徴と利点について詳しくご紹介します。

充実の機能で低コスト

FiT SDMの最大の魅力は、豊富な機能を低コストで利用できる点です。デバイスの紛失対策やアプリ管理、デバイス制御といったモバイルデバイス管理に必要な機能が、一つのプランですべて利用可能です。個別に機能を追加する必要がなく、コストを抑えつつも包括的な管理が可能となります。月額費用はプランによって変動しますが、基本的な機能に限定すれば1台300円で利用可能です。

強固なセキュリティ

FiT SDMは強固なセキュリティを提供します。デバイスの盗難や紛失時には、リモートロックやワイプ機能で迅速に対応でき、データの不正使用を防ぎます。また、業務外利用を防ぐためのアプリ制限や、作業環境を限定する位置情報制御など、多層的なセキュリティ対策によってデバイスの安全を確保します。

手厚いサポート

さらに、FiT SDMは手厚いサポート体制を誇ります。専門知識を持った担当者が、導入前後にわたってお客様の不安を解消するためのサポートを提供します。お客様のニーズに応じて、機能やオプションのカスタマイズも可能で、アフターサポートも充実しています。デバイス管理に関する時間や手間を大幅に削減できるでしょう。

その他にも、FiT SDMはクラウド型サービスであるため、デバイス管理の専門知識がなくても簡単に導入・運用が可能です。導入コストや運用コストを抑えるだけでなく、管理にかかる時間や手間も削減できるため、企業の業務効率化に大きく貢献します。また、スマートフォンやタブレットだけでなく、PCも一元管理をすることができます。

まとめ

本コラムでは、MDMの導入メリットや事例、最後におすすめのMDM「FiT SDM」をご紹介いたしました。MDMは、業界を問わず多くの企業で導入され、その効果を発揮しています。本コラムで紹介した事例からも、各業界における具体的な活用方法や課題解決のヒントを得られたことでしょう。自社に最適なMDMを選ぶ際は、セキュリティ要件やサポート体制、対応OSなどを考慮し、トライアルを活用することが重要です。信頼できるツールを導入し、より安全で効率的なデバイス管理を実現しましょう。

アイ・エス・ビーのMDMサービス「FiT SDM」は現在、大手企業からスタートアップまで多数の企業様に導入いただいています。必要な機能が、1つのプランをご契約するだけですべてご利用いただけるため、長期的な運用コストも効率的に管理が可能です。

また、アイ・エス・ビーでは、このようなセキュリティ対策システムを開発・提供しております。セキュリティ対策でお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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こちらからお問い合わせくださいませ。